※ムゲンダイナの毒々→毒菱、ラッキーの地球投げ→ステルスロック
【コンセプト】
〇初手ムゲンダイナでバフ・デバフを絡めて安全にサイクルを回し、イベルタルで想定外の詰めを行う。
〇ステルスロックや毒等を用いた定数ダメージでサイクルを有利に進める。
〇相手のダイマックスを非ダイマックスで枯らし、こちらの後発ダイマックスを通す。
〇ザシアン黒馬バドレックスに全部勝つ。
【構築経緯】
まず初めに、現在の環境
で最も流行っているザシアン黒馬バドレックスに高い勝率をキープするためにイベルタルを使うことに決めた。イベルタルは球アタッカーで後発ダイマを通す立ち回りが一般的だが、
・非ダイマ時の性能が低い
・ザシアンを倒すにはダイマが2ターン必要
・ザシアン黒馬バドレックスと同居する球サンダーや球ランドロスに破壊されやすい
といった要素が自分には合っていないと考えた。上記の欠点を解決するイベルタルを検討したところ、HBSベースのアッキイベルタルであれば、
・挑発+羽による非ダイマックス時の高い単体性能
・B+1時に特化巨獣斬で半分入らない(~47.0%)ため、じゃれ切りが多いザシアン黒馬バドレックスにおいてはザシアンに勝てる(S32終盤からじゃれを持ったザシバドが激増。常にじゃれはあるものとして立ち回る)
・ザシアン黒バドレックスのメタモン受けとして採用されやすいバンギラス、ガオガエン、ブラッキーを誘い倒すことができる
・高いダイマックス誘発能力と想定外の持ち物により相手のダイマックスを簡単に枯らすことができる
といった点から、対ザシアン黒馬バドレックスに対して圧倒的に強く戦えると考えて採用した。ホウオウやジガルデといったサイクルを形成する上で崩し切ることが難しい相手にも単体で強いため、後述するムゲンダイナやサイクル構築とのかみ合いはよい。
次に、相方の禁止伝説について、アッキイベルタルの
・交換が裏目に出るため、詰め切る状況を作り出す必要がある。
・じゃれつくザシアンには勝てない
・特殊アタッカーに隙を見せる
・受け出しのタイミングに剣舞を押されると押し切られる
等の欠点を補うことができるマジカルフレイムリフレクタームゲンダイナを採用。
初手ムゲンダイナのリフレクターやマジカルフレイムによってパーティー内の耐久値を底上げして安全にサイクルを回し、最終的にイベルタルで詰ませることをコンセプトとした。
イベルタルでの詰ませのコンセプトの実現に当たって、ムゲンダイナと組んで特殊ATを捌く必要があるため、対特殊に無類の強さを誇るラッキーを採用。
ステルスロックによるサイクル負荷、甘えるによる引きの強制、唄うによる安全サイクルを行うためにノーウエポンとした。
次に、黒バドレックスザシアンに対してラッキーでは唄うに依存する立ち回りとなり、安定して勝つことは難しいと考え、ラッキーが機能しにくい構築に対する特殊受けとして挑発残飯HDヒードランを採用。
大地の力切って悪の波動を持たせることで、環境に多い黒バドレックスやメタモンに対して非常に強く戦うことができる。
また、ゼルネアスやサンダー、ムゲンダイナなどの強い特殊アタッカーに対し、毒や挑発、守るを絡めることで突破することを視野に入れている。
ムゲンダイナと特殊受けでサイクルを回して削り、イベルタルで詰めることを基本選出とした。
ほとんどの構築に対して「ムゲンダイナ+イベルタル+特殊受け」での対応が可能であるため、(選出率60%以上、勝率70%以上)残りの2枠はこの並びで勝てないザシアンカイオーガ構築をメタるために高火力ダイジェッターの球ランドロスと対ザシアンカイオーガ(及びゼルネアス)の最終兵器である襷ヌケニンを採用。ザシアンカイオーガに対して強いと思って入れたが、カバルドンとの同居やステルスロックを絡めた展開などにより勝率は3~4割程度しかなかった。
【個体解説】
○イベルタル@アッキの実
図太いHBSベース
219(140)-136-160(244)-151-118-135(124)
構築の核。アッキの実と挑発羽休めにより多くの相手を嵌め殺した。
一部の物理アタッカー以外は詰めることができ、ザシアンにもムゲンダイナのリフレクターと合わせれば勝つことができるため、選出率は95%を超えていた。
火力不足が顕著であるが、それ以上に想定外の詰めが強かった。
〇ムゲンダイナ@黒いヘドロ
臆病HSベース
マジカルフレイム/リフレクター/毒菱/自己再生
241(204)-X-121(44)-166(4)-119(28)-196(228)
初手の展開要員。リフレクターやマジカルフレイムにより高い初手性能を誇り、削りや毒菱の設置を行う。特に対面寄りの構築には無類の強さを発揮するが、搦め手には弱い。
中盤以降型バレがひどく、十分に活躍できない試合も少なくなかった。
〇ラッキー@進化の輝石
図太いBC
甘える/ステルスロック/唄う/卵産み
326(4)-X-62(252)-X-157(252)-55(最遅)
特殊受け。特に対面寄りの構築に対して選出。ムゲンダイナと合わせてサイクルを回す。ラッキーへの憎しみが環境全体に蔓延っていたため、ヒードランに比べて少し勝率が落ちていた。挑発持ちの激増がかなりの向かい風。
〇ヒードラン@食べ残し
穏やかHD
マグマストーム/悪の波動/挑発/守る
197(244)-X-126-150-173(252)-99(12)
特殊受け。サイクル寄りの構築に対して選出。ラッキーに比べてマークが薄く、非常に高い勝率を誇った。マグスト挑発による高い嵌め性能が構築とかみ合っていた。
〇霊獣ランドロス@命の球
陽気AS
165(4)-197(252)-110-X-100-157(252)
崩し枠。基本はカイオーガ軸やイベルタル軸へのダイマエースとして考えていたが、基本選出に頼る試合が多かったため選出率は少なめ。ランドロスは対策されきっているので通すことが難しかった。イベルタルにもカイオーガにも特別強くない。
〇ヌケニン@気合の襷
寂しがりAS
ポルターガイスト/影打ち/鬼火/堪える
1-156-45-X-50-92(252)
ザシアンカイオーガメタ枠。カイオーガ軸とゼルネアス軸に対してそこそこ活躍したが、そこそこ程度。
【選出概要】
〇対ザシアン黒馬バドレックス
⇒ムゲンダイナ+イベルタル+特殊受け
有利。ザシアンが遅い+じゃれ切りが多い(S30~31のトップ100はすべてじゃれ切り)ことから、ムゲンダイナで荒せばイベルタルで簡単に詰めることができる。初手黒馬バドレックスダイナ対面についてはダイナのSが非常に手厚いことからスカーフ持ちのダイサイコであれば上を取れる可能性が高いため、マジカルフレイムで突っ張れば最速ダイサイコ以外はケアできる。
ラスト1匹についてはラッキーでもドランでもいいので刺さりがよいポケモンを選択。基本的にイベルタルで詰め切ることを意識する。ヒードランを出すことが多い。
勝率は8割を超えていたが、最終日に当たったレヒレ入りにはなすすべなくやられた。
〇対ザシアンカイオーガ
⇒ムゲンダイナ+ラッキーorヌケニンorイベルタルorランドロス
不利。瞑想球や残飯瞑想等、ムゲンダイナでは勝てないカイオーガが増えたことが最大の敗因。
じゃれ外しなどの運勝ちを除けばほとんど勝つことができなかった。
〇イベルタル入り
不利。物理イベルタルが絶滅したことで、イベルタル同士の打ち合いで一切勝つことができなくなった。
うわっきーさん構築が世に出回ったことで、「初手イベルタルのダイマをムゲンダイナとラッキーで枯らし、こちらのイベルタルかランドロスのダイマックスを通す」という立ち回りも読まれるようになってしまった。これまで少なかった対イベルタルを舐めすぎていたことが敗因。
〇その他の軸
⇒基本選出
環境のポケモンの多くはイベルタルで詰めることができるため、コンセプト通りに戦えば高い勝率を維持することができた(7月27日までは・・・)。
【苦手な相手】
球や瞑想身代わりが増えたことで、ムゲンダイナでは相手できなくなった。
物理イベルタル以外には厳しく、物理は環境から消えていた。
〇ゼルネアス
ラッキードランヌケニンで相当厚くしているように見えてラッキーとドランはダイナで毒を入れないと勝てない。ヌケニンを出さないと初手ダイナゼルネ対面ジオコン積まれてゲームエンド。
〇イッシュ禁止
ムゲンダイナが隙を見せる。壁+イベルタルでごまかせることはあるが、相方の禁止にやられることのほうが多い。
〇ルギア
イベルタルが火力のない型であるため、押し切ることができない。
〇キュレム
氷の一貫がえげつないので勝てない。いないから切った。
〇瞑想やビルド持ち
ダイナが対面で毒にできないため、好き勝手詰まれる。
〇一撃必、追加効果
相手のやりたいことを捌く構築であるため、被弾回数が多い。
【S32の敗因】
●明確なザシアン受けがいないため、不利対面が負けに直結する(ザシアンを舐めすぎている)
●環境の読み違い(ザシアン黒馬バドレックスの減少及びザシアンカイオーガ、ザシアンイベルタル、その他イベルタル軸及びカイオーガ軸の増加)
●ステロ要員に対して自由な展開を許す(カバルドンorラグラージ+ザシアンorカイオーガorイベルタルなどの展開を止めることができない)
●ムゲンダイナの型バレ(あまりにも初手壁ムゲンダイナが読まれる試合が多く、初手出し安定のはずが良い盤面を維持することができない試合が多かった。)
●ランドロスを誘い殺すにはランドロスに弱すぎた(イベルタルはダイジェットに受け出せない。ザシアン+ランドロスなどの物理の役割集中がきつい)
●ラッキーのポテンシャルを引き出すプレイングスキルがない(ノーウエポンを使いこなす技量不足)
●一部ヌケニンに頼らないとどうにもならない構築がある(相手方も当然ヌケニン対策がいるため、結果勝てない)